日本人とお墓シリーズ(3)
お彼岸ってな〜に

なぜ、お彼岸にお墓参りをするのでしょう。
インド・ミャンマー・スリランカなどの他の仏教国では、
お彼岸にお墓参りをしないそうです
日本だけの習慣だそうです。
仏教行事として「彼岸会」とか「お彼岸」といわれますが、もともと
春分・秋分の日は、仏教とは関係がなかったそうです。
初めて、お彼岸に法要を行った記録は、桓武天皇が延暦二十五年
(806年)春分の日に、弟の早良親王の霊を弔うため行ったと、
『日本後紀』にあるそうです。

「彼岸」という言葉は平安中頃の『宇津保物語』・『蜻蛉日記』に、
初めて使われているそうです。
ところが、『今昔物語』の「聖徳太子、天王寺を建てる語(ものがたり)」
に、「天王寺の西門に聖徳太子は自ら、ここはお釈迦様が説法された
ところ、極楽浄土の東門にあたると、お書きになりました。
そこで、天皇、公家、お坊さん、民衆に至るまで西門で阿弥陀様の
念仏をとなえ、お参りしない人はいない」とあるそうです。
こうした言い伝えがあるので、聖徳太子の頃には「お彼岸」があった、
ということです。
四天王寺は、お彼岸の中日(春・秋分の日)に、真西に夕日が西門の
石の鳥居の中に沈むそうです。 この鳥居が「極楽の東門」です。
ここに入る夕日を拝み、阿弥陀様の西方浄土(極楽浄土)を願う、
という信仰が生まれたそうです。
多くの法皇・天皇・公家・歌人各宗派の開祖や武士また一般民衆も
大勢お参りした記録が残っているそうです。
それは、一千年後の現代にも生き続けています。
春と秋のお彼岸は多くの人が夕日を拝みに四天王寺へとお参りします。
四天王寺一帯にいまも「夕陽丘(ゆうひがおか)」という地名が残って
いるそうです。

浄土宗や真宗で大切な『観無量寿教(かんむりょうじゅきょう)』という
お経には、極楽浄土を思い浮かべる十三の方法が説かれているそうです。
その第一は、正座して日没を観る「日想観(にっそうかん)」だそうです。
日本に大きな影響を与えた中国浄土教の開祖「善導(ぜんどう)」は
この「日想観」について「その日は太陽が真東に出て真西に沈み、
阿弥陀仏の国は日没のところ、真西の十万億刹(さつ)の彼方にある」
と、書いているそうです。
どうもこれが日本の「お彼岸」のルーツらしいのです。
平安時代中頃から、お彼岸は「亡き人を弔い、極楽浄土を願う日」として、
さまざまな階層にまで広まったので、お彼岸にお墓参りをする習慣が
生まれたは、ごく自然のこと、と言えます。
「彼岸」とは、「彼方にある岸」のことで、向こう岸です。
こちら側は、「此岸」です。
仏教では、二つの岸を「悟り」と「迷い」の世界、あるいは「極楽浄土」と
「娑婆」にたとえます。
わたしたちには、「あの世」と「この世」と言い換えた方がピッタリします。
大乗仏教では、苦しみや迷いの世界の此岸から、迷いにない悟りの彼岸
へ到達することを「到彼岸(とうひがん)」といって修行を意味します。
この修行を古代インドのサンスクリット語では、「パーラミター」と、
いうそうです。漢字では「波羅蜜多(はらみつた)」あるいは「波羅蜜」と
書くそうです。

「波羅蜜多(はらみつた)」という言葉は、よく知られているお経『般若心経』
にあります。この『般若心経』は、『摩訶般若波羅蜜多心経(まかはんにゃはら
みったしんぎょう)』の略です。
また、空也上人が開いた「六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)」・「六波羅探題(ろく
はらたんだい)」でも知られています。
ここで出てくる「六波羅蜜(ろくはらみつ)」とは、菩薩が修行する六つの
大切な実践徳目だそうです。

それを簡単に紹介します。
1,布施(ふせ)=財物・おしえ・安心を与えること。
2,持戒(じかい)=戒律を守ること。
3.忍辱(にんにく)=苦難に耐え忍ぶこと。
4,精進(しょうじん)=仏道を実践し、励むこと。
5,禅定(ぜんじょう)=心や精神を統一すること。
6,智恵(ちえ)=真理を見極め、悟りを完成させること。
中でも重要なのは「智恵」で、お経にあった「般若(はんにゃ)」とは、「智恵」
のことだそうです。
私たちの生活に当てはめると、小畠先生の場合宮沢賢治の『雨ニモマケズ』
という詩が、この六波羅蜜の内容をよく表していると、思われているそうです。

お彼岸には、お盆とよく似た習慣があり、「霊山」や「霊場」へお参りする
習慣も各地にあるそうです。
また、彼岸は「雑節(ざっせつ)」といって、中国から伝わった「二十四節気
(にじゅうしせっき)」を補う日本で設けた暦日の一つです。
「雑節」は、他に土用・節分・お盆・節句・七夕などがあります。
よく「暑さ寒さも彼岸まで」といいます。春分・秋分の日はちょうど季節の
変わり目にあたり、農業では欠かせない大切な目安となる日です。
そんな大切な時だからこそ日本人は、昔からご先祖様や亡き人のお墓参りを
したと考えられます。

『国民の祝日に関する法律』では、春分の日を「自然を称え、生物を慈しむ日」、
秋分の日を「祖先を敬い、亡くなった人を偲ぶ日」とあるそうです。
自然の恵みとご先祖様に心から感謝する日が、日本のお彼岸では
ないでしょうか?

この「日本人とお墓シリーズ」の著作権は、「石文化研究所 小畠宏允先生」に帰属します。
無断で複製・転載はご遠慮下さい。

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